My Storage

内観の記録。その他。

内観の事例

毎日、内観をしていて思い出した事例がある。

 

内観とは、もともと「身調べ」と呼ばれており、ただひたすら自分で自分の過去を調べていくことで、自分の心を見つめ直すワークだ。

 

内観の凄さは、自分という存在をそのまま保ちつつ、人生の価値観をまるごと変えてしまうところにあると思う。

 

 

多分これは、もう今から10年くらい前だと思うけれど、誰もが知る有名な億万長者(Hさん)がいた。

 

そのHさんがある若者(Sさん)と対談した時に、こんな話をしていた。

 

 

Hさん「いや僕ね、欲しいものは全部手に入れたんですけどね。なんかこう充足感っていうんですか、やり切ったっていう感覚がないんですよ。」

 

Hさんは、その当時50代後半で、もうすぐ還暦というタイミングだった。

 

 

東京都内の一等地にタワーマンションを買い、高級外車を乗り回し、一回り年下のとても綺麗な奥さんがいて、かわいい子供もいる。

 

資産でいえば、一生お金には困らないお金持ちだ。

 

そんな誰もが羨む億万長者が、どれだけ成功しても、いつも心が空しく満足感がないという。

 

 

Sさん「何でそんなに虚しいんですか?今幸せじゃないですか。」

 

Hさん「そうなんですけどね。でもなんかもっと頑張らなきゃ。次は何をやろうかって思っちゃって、全然満足出来ないんですよ。」

 

 

Sさん「その不足している感覚って何なんですか?人ってね、朝起きて健康で仕事が出来て一日楽しかったら、それで幸せなんですよ。」

 

Hさん「そうだと思うんですけどね。でも何か足りないんですよ。」

 

 

Sさんはじーっと考え、しばらく沈黙が続いた後、

 

「僕なんか、未だに頑張った後はお母さんに報告するんですよ。僕、お母さん大好きなんで、褒めてもらうとモチベーション上がるんですよ。」

 

 

!!!!!!!!!!!

 

 

長い沈黙の後Hさんが、「それだ!俺、それだわ!!」と急に大きな声で叫んだ。

 

Sさん「なんすか」

 

Hさん「俺いま気付きましたわ。母ちゃんですわ。俺ね、子供の頃から母ちゃんに褒められたことないんですよ。

 

俺たちの時代って、子供を過保護に育てる時代じゃなかったから、本当は褒めて欲しかったけど、そんな環境じゃなかったしね。

 

ああ、そうか。俺、母ちゃんに褒めてもらいたくて、ずっと頑張ってたんだわ。」

 

と、自分の中で大きな何かに気付いたHさん。

 

 

Sさん「だったらお母さんに電話して、褒めてもらったらいいじゃないですか。きっと褒めてくれますよ。」

 

Hさん「そうですね。ちょっと実家に電話してみますわ。」

 

 

そしてここからHさんは実家に電話をし、お母さんに今まで頑張ってきたことを、「よく頑張ったね」と言って欲しいと伝えたのです。

 

 

さすがにお母さんも「今頃あなたどうしたの?」とは思ったそうですが、お母さんもご高齢で昔のような厳しさはもうなかったそうで、素直に「あなたよく頑張ったね」と言ってくれたそうです。

 

 

その後のHさんの変わりようといったらもう本当に凄くて、今までは成功とかお金とかステータスばかりを追い求めていた人でしたが、

 

そこからは人が変わったように穏やかになり、奥さんと子供と一緒に過ごす時間が宝物だと、とても幸せそうでした。

 

 

それまでは、全身をブランド物の服で固めていたのに、それ以来ユニクロの短パンとポロシャツみたいな恰好で、どこにでもいる普通のおじさんになってしまったのでした(笑)

 

 

もちろん、その方は今でもビジネスをやっていますが、生活に必要な最低限のお金だけあればいいということで、毎日ご家族ととても幸せそうに暮らしています。

 

老いていく不安はあるようですが、家族がいればそれで充分と素直に思えるそうで、たった一回お母さんに褒められただけで、この変わりようは本当に凄いなと思いましたね。

 

(もちろん、お母さんとのやり取りの中で、もっと深い話はあったと思いますが。)

 

 

そして、もう一人別の方(Tさん)は、逆に何をやっても人生がうまくいかない方で。

 

病気、借金、家庭不和、リストラなど最悪の状況にいた方ですが、やはり内観を丁寧にやって自分を見ていくことで、自分の中にあった思い込みや刷り込みが外れ、今では別人のような成功者になっています。

 

 

Tさん「僕はいつも仕事でかっこつけて出来る男を演じていましたが、実は何にも出来ないんです。

 

この歳になって、キャベツと白菜の区別もつかないんです。家に帰っても居場所がなくて、子供からは母子家庭だと思われてるんです。

 

本当は借金だらけで、体調も悪くて。虫が出たら自分で退治することも出来なくて。情けない男なんです。」

 

って、自分のお客さんの前で堂々と言えるようになった。

 

 

Tさんは法律家の仕事をしていて、セミナー講師としても活躍されている方です。

 

とてもプライドが高く、人前で自分の弱いところを見せるなんてとても出来なかったそうです。

 

 

だからこそ、この清々しさは今までに味わったことがないと言っていました。

 

凄いですよね。

 

 

最初のHさんは、他者と話をする中で気付いたケース。

 

Tさんは毎日ひたすら自分と向き合って、一日15時間は内観をしていたそうです。

 

 

結局内観とは、素の自分に戻る嘘のない本当の自分で生きていくための原点に戻るワークなのかなと思っています。

 

 

想像してみて欲しいのですが、「自分は本当はこういう人間です!」というのを、一切の嘘なく人前で言えるかどうか。

 

普段は堂々としているけれど、実は臆病で気が弱いんですとか、未だに朝はお母さんに起こしてもらってますとか、女性であれば完全にスッピンの状態で、これが本当の私です!とか。

 

 

一切の繕いなく、素で生きれるようになったら、どれほどラクだろうと思っています。

 

私はまだそのステージまで行けていないし、何より両親からの大量の洗脳を解くのにとても苦労しています。

 

 

自分の人生がうまくいかない大元の刷り込みや思い込みに気付いて、それを一つずつ外していく。

 

これは気が遠くなるような作業です。

 

 

最初のHさんのようにたった一回で外れてしまう人もいるし、もの凄く時間がかかる人もいます。

 

私は一生かけてやるつもりなので、途中経過はまたシェアしていきたいと思っています。