今日は私の初恋の話をお送りします。
長い間、全ての感情や人を好きになる気持ちを失っていた私ですが、実は子供の頃にはハッキリと人を好きになる気持ちがありました。
初恋です。
初めて人を好きになったのは幼稚園の時。
同じ幼稚園の天野くんという男の子が大好きでした。
よく幼稚園児が言いがちな、「〇〇くんのこと好き」みたいなそんな淡い思いではなく、私の中では子供ながらにハッキリと、天野くんのことを一人の男性として好きという気持ちがあったのです。
それで私はほぼ毎日のように幼稚園が終わると、天野くんの家に遊びに行っていました。
完全に押しかけ女房です(笑)
一切招かれてもいないのに、自分が会いたいから勝手に押しかけていました。
さっきまで、幼稚園でずっと一緒だったのにも関わらずです。
天野くんは嫌な顔一つせず、毎日遊んでくれてとても良い人でした。
内向的でもの静かで子供っぽさは全くなくて、とても落ち着いている男の子でした。
昔から内向的な男子が好きなのは、変わっていません(笑)
大人になってからの薄い感情とは違い、この頃の私にはハッキリと異性に対してドキドキしたり、好きな人とずっと一緒にいたいという、とても純粋な気持ちがあったのです。
でもその後、悲劇が起きます。
なんと、
天野くんが転校
嘘でしょ?
何度も耳を疑いました。
お父さんの仕事の都合で、他県へ引っ越してしまうと言うのです。
私が小学校3年生の時でした。
幼稚園に入ってから小学校3年生まで、実に6年間もずっと好きだったことになります。
天野くんは私に引っ越すことを一言も告げず、学校で先生から聞いて「何でそんな大事なこと言ってくれなかったの?」と、本気でショックでした。
その後です。
私はパニックになり、家で騒ぎまくりました。
「お母さんどうしよう、天野くんがいなくなっちゃう!」
「なんとかして!」
すると母は、
「あんた、そうやっていつまでもいい加減にしなさいよ!」
「天野くんは、お父さんの仕事の都合で引っ越すの。仕方ないことなの。
そうやってあんたが騒いだところで、天野くんは引っ越しやめるの?違うでしょ。もう諦めなさい!」
え!!!
そうか。
そうだよね。
“自分の力でどうにもならない事をいちいち騒ぐな”
これが我が母の教訓です。
痛いとか苦しいとか辛いとか寂しいとか言ったら、だいたい潰されます。
人を好きになっちゃいけないんだ。
こういう気持ちを持っちゃいけないんだ。
母の言葉や態度から、私はそう受け取ってしまったのです。
「くだらない事で騒いでないで、さっさとお別れしてきなさい。」
そう言われ、母に500円を渡されました。
私はその500円で文房具の詰め合わせセットを買い、それを持って天野くんにお別れを言いに行きました。
この時伝えたのは、
「今まで遊んでくれてありがとう。新しい学校に行っても頑張ってね。」
もうこれだけ。
本当にこれだけ言うのが精一杯でした。
本当はあの時、ずっと好きだったという思いを伝えたかったけど、言えなかった。
なんか言ってはいけない気がした。
そしてその後、黙って家に帰ってきて、何事もなかったかのようにずっと過ごしていました。
そして私はその日から、人を好きになるという気持ちを消したのです。
内観をしていて、この時のことを思い出してゾッとしました。
また母だ。
人から愛する気持ちを奪うって窃盗罪なんじゃないかな的な、なんとも言えない怒りが湧いてきて、一気に虚しくなりました。
でもそんな中でも、私の事をよく見てくれていた人がいました。
父です
天野くんと毎日会っていた思い出を、写真に残してくれていたのです。
お父さんがひそかに私たちの後をつけて、写真に収めてくれていたのです。
これは小学校1年生の時。
近所の公園にある池です。
アヒルさんに餌をあげながら、私が一方的に喋って、天野くんはずっと聞いてくれていた。
もはやこんな時代があったことが、今は信じられません。
あの時母が、
「そうか、それは辛いね。でも、また天野くんに会える時がきっと来るよ。だからお別れじゃなくて、気持ちだけ伝えておいで。」
そう言ってくれていたら、だいぶ違ったんだろうなと思います。
お父さんは娘の失恋に対して無言を貫きましたが、まともな“人の心”があったのは父の方なので、きっとひそかに心配してくれていたのではないかなと思います。
そして私はその日以来、天野くんに関する記憶を自分の中から一切消しました。
もう、この諦め方(笑)
こんな風にして、私の中にスキゾイドの要素が一つ一つ形成されていったんだろうなと思ったら、やり切れない思いでいっぱいになりました。
これ20代で気付いてたら、人生全然違ってたよね。
まさかこんな事がきっかけで、大人になった私がこんなにも恋愛に挫折しているとは、子供の頃の私は想像もしていなかったでしょう。
色々考えたらもう残酷すぎて、鬼束ちひろの「流星群」をフルボリュームで聴きながら、地球の底の底まで堕ちていきたい気分になりました(笑)