親に埋め込まれた呪縛、呪いを解くことが、こんなに大変だとは思わなかった。
お医者さんは、まるで他人事のように「そんなの3ヶ月もあれば終わりますよ」と言った。
パーソナリティ障害がたった3ヶ月で治るという言葉を信じて、今日まで一日も欠かさずに、ずっと自分と向き合ってきた。
もう一年以上が経過したけれど、全然終わる気配はない。
今思えば、精神科の廊下に貼り出してあった、たった3ヶ月でパーソナリティ障害が治った人の事例は、軽度の境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害の人たちで、自分とはだいぶ違った。
あの時は、そんなことさえ、冷静に見れなかった。
着実に回復はしているけれど、わりとずっと行ったり来たりしている。
でも思った。
そりゃ、そうだよなぁ。
親の呪いを解くということは、その呪いに必死に耐えて、頑張ってきた過去の自分を手放すということ。
どんなに辛い支配にも義務にも、折檻にも無視にも耐えて、必死でここまで生き抜いてきた自分の歴史を塗り替えるということ。
抵抗が凄いはずだ。
呪いを解いてしまったら、親を許してしまったら、過去の自分を認めてしまったら、スキゾイドちゃんとして生きた過去の日々を、自らの手で否定し、捨てることになる。
それだけは嫌だ。
そこのプライドと長い間、戦っていた。
せめて、自分をこんな目に遭わせた親に仕返しをしてから、幸せになりたい。
そんな思いもあったかもしれない。
抜けそうで抜けないとても大きな壁。
みんな同じ道を通るのだろうか。
他のパーソナリティ障害は、色々な事例があるのに、スキゾイドちゃんだけは事例がほとんどない。
ずっと一人でいたら快適だから、ぼっち最高。
スキゾイドちゃん最高。
私が聞きたい話はそんな話ではない。
強烈な否定や諦めの世界から抜け出し、自分の人格を自らの手で救い出した人の事例が知りたい。
でも、それがないから私がやる。
治るまでずっと。
生涯この命を懸けて。