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自分を完成させるという罠

私が参加しているコミュニティのリーダーが、こんな事を言っていたんですね。

 

「僕の人生の目的は、人間を完成させることです。」と。

 

 

人間を完成させる

 

この言葉を聞いた時、この人も私と同じ罠にハマってるなと思いました。

 

 

何が罠か。

 

人間を完成させるって、一見良さそうな言葉じゃないですか。

 

 

全ての分野において自分を高め、人生の最期を迎える時までに自分を磨き続けて、自分という人間を完成させる。

 

こう書くと、素晴らしい目的のように思えますが、実はこれも親の呪いなんです。

 

 

人間を完成させるということは、つまり私はまだ完成されていない。

 

未完成であるという思いがあるわけですよね。

 

 

でも人間というのは、実は生まれた時から完璧であり、完成された状態で生まれてきているんです。

 

だからありのままの自分が、そのままの姿でもう完成品なんです。

 

 

なのに、自分を完成させなければと思っているということは、自分は完成されていない、今の自分ではダメだと言ってるのと同じなんです。

 

つまりベースにあるのは自己否定なんです。

 

 

もし自己受容が出来ていれば、ありのままの自分を受容出来るので、そもそも自分を完成させたいという発想にはなりません。

 

そのままの自分を愛せるからです。

 

 

でも根っこに、今の自分では足りない。

 

もっと素晴らしい人間にならなければ。

 

もっと完璧な人にならなければ。

 

 

という思いがあると、人は神様を目指そうとしたり、完成された完璧な人間になろうとしてしまうんです。

 

そして、そんな思考をしている裏側で、ずっと「今の自分ではダメだ」という自己否定が永遠に繰り返されているので、どれだけ頑張っても全く充足感や満足感は得られないんです。

 

 

そしてこれって、子供の頃に親に否定されて育った人が最も陥りがちな罠なんです。

 

親に否定される⇒そのままの自分では価値がないと思い込む⇒価値をつけるためにもっと凄い人にならなきゃと思い込む⇒そのためには完成された人間、または神様になればいいんだと思い始める

 

この罠に見事にハマるわけです。

 

 

何故なら、若い頃の私もこの罠にハマっていた時期があったからです。

 

私の場合は運良く23歳で気付き、その呪いから抜けましたが、神様を目指す生き方や完成を目指す生き方なんて、幸福とは正反対の方向に進んでいる、いわば不幸への道なんです。

 

 

だって、人間を完成させたいという思いの裏側にあるのは、今の自分ではダメだという究極の自己否定だから。

 

そしてね、これが最も重要なのですが、神様や完成を目指した先で、その人は本当は何を求めていると思います?

 

 

母親に認められること

 

 

これです。

 

本当の目的は自分を完成させることではなく、完成させた先でかつて自分を否定した親を認めさせる、または見返すことが真の目的なんです。

 

 

だから、この生き方自体がもう親の呪いなんです。

 

自分を完成させるというその生き方自体が、もうスタートから全部ズレているんです。

 

 

重要なのでもう一度言います。

 

 

人間はそもそもその人にとって完璧な姿で生まれてきています。

 

例えば障害などを持った子も、その障害を持った状態で完璧な存在として愛される価値があります。

 

 

だから、ありのままの自分を自己受容出来れば、自分を完成させたいなんて発想にはならないんです。

 

でも自分の人生が自己否定から始まっていると、ありのままの自分には価値がない、価値のある人間になるために自分を完成させなきゃって思って、ひたすら自分を完成させるためだけに生きるようになるんです。

 

 

この生き方、最後死ぬ時に幸せだったって思うと思います?

 

よし、今回の人生は人間を完成させたぞ!

 

最高の人生だったぞ!って、本当に思います?

 

 

私は何度も自分に問いかけた時、答えはNOだったんです。

 

だからそのゲームからは早々に降りたんです。

 

 

自分を完成させたいという願いを持っている人=強い自己否定を持っている人なんです。

 

私はこれに気付いた時、ショックでしばらく寝込みました。

 

こんなくだらない事(つまり自分を否定した母親への復讐)のために、私は人生の貴重な時間を使っていたのかって。

 

 

完成させた自分を母親に見てもらって、いつか褒めてもらいたい。

 

 

自分を深堀りしていくと、実はそんな思いが根っこにはあるんです。

 

だけど、人生はそんな生き方をしても幸せになるようには出来ていない。

 

 

だから、自分を完成させるなんて事は考えないで、もっと今を楽しむ。

 

ありのままの自分で人生を楽しめるようになったら、この呪いからは解き放たれます。

 

 

そのためにはまずは自己受容。

 

そして自分を地の底に落とした母親を乗り越えること。

 

(私の場合は母親でしたが、父親の呪いがかかっている人は、父親を乗り越えてください。)

 

 

今日はとても重要なことを書きました。

 

以前の私と同じように、そして私が参加しているコミュニティのリーダーと同じように、完璧な存在、完成された存在、神様のような存在を目指して生きてしまっている人は、一度立ち止まって自分と真剣に向き合ってみてください。

 

 

今の私は「人間を完成させたい」なんて言葉を聞くと、とても悲しくなります。

 

何故なら、そうかこの人も自分のことダメだと思ってるんだなって。

 

その気持ちが凄く強いんだなって分かってしまうから。

 

 

でも、そういう人に限って本当に純粋でいい人が多いから悲しいんです。

 

人間を完成させるために生きちゃだめ。

 

それ親の呪いだから。

 

って思います。

 

 

私はいつもこじれた人に対して「一度自分を更地にして、ゼロから全てやり直す必要がある」と言っていますが、今回の記事を読むとその意味がわかると思います。


そもそもの土台がズレていたら、その上に立てている建物も全部ズレてしまって、欠陥住宅と同じ構造になるんです。

 

 

「人間を完成させる」なんていう間違った思考からスタートしていたら、人生全てが間違った方向に進んでしまうし、この思考自体がもう親の呪いなので気付いた時点で早急にその呪いを解くことです。

 

 

もう間違いなくこのタイプの人は、表面上かなりうまくいっているように見えても、実際は本当の意味での充足感、満足感、安心感、自己受容は得られておらず、どこまで行っても満足できないはずです。

 

きっと世界中の知識や情報や全ての能力を手に入れ、完璧な神様になれたとしても、それでも満足は出来ないでしょう。

 

 

何故なら本当に認めて欲しいのは自分の親だから。

 

そもそも親から否定されて育った人は、そのままで完成されているんだよ、そのままの自分で完璧なんだよと言われても、全く受け付けないと思います。

 

でもそれを受容して、自分で自分の価値を認められるようになることこそが自己受容なんです。

 

 

そして、自分を完成させたいなんて思いは捨てて、ありのままの自分を受容出来るようになった時、そこから初めて本当の自分の人生が始まるんです。

 

つまり、自分を完成させたいなんて言ってるうちは、自分の人生を生きてないってことなんです。

 

 

私もそうだったけれど、自分を完成させること自体が人生そのもの、自分の人生の軸になってしまっている場合は、これに気付いた瞬間、本当に絶望して生きるのも辛くなるはずです。(私は本当にこの世から消えたくなった)

 

 

今回のような話は、かなり深く自分と向き合わないと気付けないことなので、もしかしたら今回の記事でショックを受けた方もいるかもしれませんが、私と同じようなケースにハマっていた人は、ぜひ自分をさらに深掘りして、親を乗り越えていってください。