数年前くらいから急に流行り出して、色々な所で目にするようになった生きがい(ikigai)の図。
こちらのWikipediaに載っているこの図が、カラー版で色々なところでシェアされているのですが、私はずっとこの図に違和感を感じていて、この図の通りにしたって、自分の生きがいなんて一生見つからないよ!と、ひそかに心の中でずっとツッコミを入れていたのです。
すでに、何らかの生きがいや生きる目的を持っている人ならわかると思いますが、この図って逆なんですよね。
詳しくは、「Ikigai(生きがい)の図」とかで検索すると、この図の使い方の説明が見れるのですが、要は4つの円の重なったところにある共通項を探して生きがいを見つけていきましょうみたいな話なんですが、この考え方自体が「手段の目的化」にハマってしまってるんですよね。
順番としては、まず生きがいを見つけるのが先で、好きなこと、得意なこと、世の中が求めるもの、お金になることみたいな条件は結果的に後からついてくるっていう順番じゃないとおかしいんです。
だから、この図の通りに生きがいを見つけようとしたら、手段の目的化にハマっちゃうよと。
これ気付いてる人は気付いてるんですが、誰も指摘しないんですよね。
私も最初にこの生きがいの図を見た時から違和感が凄くて、これ変だなとずっと思っていたし、多分この図を紹介している人は、その人自身が生きがいを見つけてはいないんだろうなと思うんですが、さすがにこの図で生きがいを見つけるのは無理がありすぎると思っていて。
簡単に言うと、
好きなこと
得意なこと
世の中が求めるもの
お金になること
を探していった結果、この4つの円の重なったところに生きがいになるものが見つかるんじゃなくて、最初に円の中心の自分にとっての生きがいを見つける(または決める)からこそ、その外側にある4つの円の条件も後から満たされていくという順番なんです。
例えば私の場合だったら、私は内観を極めるとか、親の呪縛を解く技術を深めることが自分の生きがいの一つになっていますが、これを生きがいの一つとして決めた時に、この生きがいが好きなことかどうか、お金になるかどうか、世の中が求めているかどうかなんてことは一切考えていません。
内観を徹底的にやると決めて実際にやり始めたら、結果的にそれが得意なことになったり、世の中が求めているものになったり、お金になったりという順番であって、最初は4つの円の条件なんてどうでもいいんです。
何が目的で何が手段なのか、ここがわかってないから、こんなおかしな図が出来るんです。
この図を見て変だなと一瞬で違和感を感じる人は、多分もうすでに自分の本当にやりたい事が見つかっているはずです。
多くの人が当たり前に良いものとしてシェアしているものの中にも間違っているものはたくさんあるので、安易に信じないで、自分の感覚を優先していきながら、なるべくズレていない価値観を自分の中に取り入れていってください。
ちなみにもっと言うと、自分の本当の生きる目的、生きがいというのは誰にも理解されず共感もされず、仮に世界中が敵になったとしても、それでもやりたいと思えるようなものです。
お金にならないなら、やる意味がないからやめるというのなら、それは単なるエゴです。
この図に書かれている、世の中が求めるものやお金になるという条件も本来ならいらないものです。
誰からも認められず、評価もされず、1円にもならなかったとしても、それでもたった1人でもやり続けると言えるもの。
自分一人でも、最後までやり抜く覚悟で淡々と突き進んでいけるものこそが、本当の生きる目的であり、生きがいです。
それに気付くために、ひたすら自分と向き合って内観をするんです。
その答えは自分の中だけにあり、生きがいの図を使ったところで、生きがいなんて見つかりません。
だってこの図自体がおかしいですから(笑)
でもこの図がたくさんシェアされているということは、それだけ自分が何のために生きているかわからない人が多いということ。
ただ今回言いたかったのは、手段と目的の区別がつかなくなると、人生そのものが丸ごとおかしな方向に行ってしまうので、なるべくこういうIkigaiの図のような手段に頼らないで、自分の人生の棚卸をすることを優先して欲しいと思っています。