物事を良い方向に進める時、俯瞰して見る、または固定観念を外すということが出来ないと、真の答えには一向に辿り着けません。
例えば、機能性ディスペプシアという病気があります。
病院で検査をしても異常がないのに、ずっと胃の調子が悪く、食事が思うように取れない病気です。
「胃の調子が悪い」
この固定観念があると、多くの人は胃を何とかしようとします。
でも、体の不調が起きている場合、だいたいその患部には直接的な原因はないというのが、ちゃんと体全体を見れるプロの間では常識です。
私は凄腕の鍼の先生を数人知っていますが、その先生方が機能性ディスペプシアを治すのに、鍼を刺す場所は腕と足です。
胃、またはその周辺には一切触りません。
それもわずか4~5本の鍼を刺すだけで、その場で症状は消えてしまいます。
他にも、姿勢が悪くストレートネックで上半身が凝り固まって痛みや凝り、息苦しさがあるとします。
多くの人はその症状を取ろうと、上半身に直接アプローチをしますが、本当の治し方を知っている先生は、不調のある場所に直接鍼を刺したりはしません。
首の痛みや息苦しさを取るのに鍼を刺す場所は、やはり腕と足、そして臀部です。
首こりが酷いからと言って、直接首に鍼を刺すような先生のところに行ってしまうと、なかなか治らなかったり、施術の後に好転反応が出たりします。
なぜなら、体は本当の原因はそこじゃないよ!と知っているから、好転反応という形で知らせてくるからです。
上手な先生にやってもらうと、その場で不調が消えて、二度と再発しませんし、揉み返しや好転反応のようなものも一切出ません。
(もちろん、普段の姿勢や生活の改善、食事などは自分で気を付けないと、不調は元に戻って再発します。)
ここで言いたいのは、問題が出ている場所に執着すると、答えが一向にわからないということです。
これは思考も同じで、例えばいつもお金に困っている人が、お金に関する潜在意識の思い込みを外そうと思った時、基本的にお金のブロック(思い込み)は全く別のところにあったりします。
お金というキーワードに縛られて探していくと、まず見つかりません。
私も以前、お金のワークを徹底的にやったことがあったのですが、もうとっくに忘れていたような小さい頃の出来事で、お父さんとの記憶を書き換えて処理したら、詐欺にあったお金が一週間以内に全額戻ってきたことがありました。
この時、お金とは全く関係のない人間関係の記憶を書き換えています。
この視点をズラす、固定観念を外すというのが本当に大事で、これが出来ないと、病気の人であれば患部にずっとこだわり続けたり、借金を抱えている人はいつまでもお金の呪縛から解放されなかったり、人間関係であれば問題を起こしているその対象の人にいつまでも執着し続けます。
私も以前はこの考え方が出来なかったので、随分と迷走し遠回りをしてきましたが、今は脳の使い方を整えたことによって、最短ルートで行きたい場所に行けるようになりました。
例えば冒頭の体の話ですが、普通に考えて不思議じゃないですか。
何で首が痛い時に臀部に鍼を刺すのかって。
興味があったので鍼灸の先生に聞いてみたんですね。
そうしたら、「人間は元々、四足歩行の猿人だった時代の記憶がずっと体に残っているので、首や肩を治す時は四足歩行だった頃の対にある股関節や臀部に鍼を刺すと首や肩が治るんですよね。逆に坐骨神経痛や腰などの痛みは首や肩に鍼を刺すと治るんですよね。」と。
まさにこの思考です。
俯瞰してみる。
別の角度から見る。
問題と真正面から向き合うのではなく、視点をズラす。
これが出来るようになると、あっという間に答えが見つかるようになります。
体が治らない人はずっと患部に意識があるんです。
機能性ディスペプシアの原因は実は胃にはない、それどころか腕の使い方や足の動かし方に原因があるって聞いたら、アプローチが根本から変わるでしょう。
さて、人生いよいよ面白くなってきました。
全ては脳の使い方です。