2011年3月11日。
生涯忘れない日。
悲しみというのは一生消えることはなく、
その悲しみは、ほんの一瞬、喜びや笑いや楽しさといった、
別の感情で忘れさせてあげることは出来るけれど、記憶というのは一生消えることがない。
私はあの日、強烈な揺れの中で、うっすらと日本の終わりを、
もしくは人生の終わりを感じながら、ただただ絶望していました。
当時、末期ガンから奇跡的に生還し、ガリガリに痩せ細った私は、
自分が生き残ってしまった罪悪感で酷いうつ病になり、
仕事もすべて停滞して、それまでの日常が完全に停止してしまいました。
停電でゴーストタウン化した街を見ながら、「終わったなぁ・・・」と心の中で呟く日々。
しかしそんなある日、とんでもない情報を目にしたのです。
「震災の日に、FXで大金を稼いだ人がいる。」
東北で、とてもつらい思いをしている人がいる一方で、あの震災で、恐ろしいほど儲けた人がいる。
この事実は私を苦しめました。
嘘でしょ。
何だよ、東北はぐちゃぐちゃなのに。
でも、この事がずっと頭から離れなかった。
そして私はその年の暮れ、新米のトレーダーになっていました。
大切に保管していますが、なんとも複雑な気持ちになります。
ただ、この時に考えたこと、決定したことが、
今の私の人生を作り、結果として、良い選択だったのかなと思います。
お金があれば多くの人を救える。
それが私がトレーダーを選んだ理由でもあります。
この10年間、必死で生き抜いた、それぞれの人生に敬意を込めて。
今年もまたあの場所に、桜が咲きますように。